別離 ―そして 旅立ち―

それは 突然やってきたのだろうか
ふと 気がつくと
それは セピア色の写真のように
なつかしくはあるが 色あせ
生きて動いているはずなのに
まるで廃墟と化したギリシャ神殿のように
空しく
さびしくはあるが
私を そこに とどめようとはしない

悲しさ 愛しさ 楽しさ 苦しさ 嬉しさ
そんなものを共にしてきたはずなのに
今では それぞれのものとなり
決して 分かち合うことはない

それは そっと それぞれの胸の奥にしまわれ
ただ 漠然と
それは存在した という過去の中に置き去りにされ
時に 振り返ることはあっても
私が 決して 戻ることのない場所

私は ただただ前を見つめ
私の意思が命じるままに
私の行くべき場所に向かって
歩き始める

不安と
けれど それよりも大きな期待をもって
私は歩き始める

いつのまにか 私は血を流し 傷だらけになりながら
振り返ることを忘れ
立ち止まることも忘れて
私の意志の命じるままに
私の行くべき場所に向かって
歩きつづける

勇気と情熱だけをにぎりしめ
私の存在だけを頼りに
私は歩きつづける

よろしければ、一言どうぞ