帰還

この広い大地に立っていると
私は自然に還っていく
悠久に営み続けてきた 誕生と死と
足元に咲く草木と同じ私もまた自然そのものになる
誕生と死と その循環の中のひっそりとした たった一つの自然なのだと
大地と戯れ 風邪に抱かれ 空は私を包み込む
駆けてきた馬が突然立ち止り
自然の匂いを嗅いだ
そして首を一振りすると
自然に向かって足を上げ 空に向かって嘶いた
風の中に吸い込まれて行く鳴き声が
私の身体を通り抜けた
千切れた雲を追いかけるように
馬は地平線の彼方へと消えて行く

この大地に背を向けた途端
自然から切り離された私の魂は
人間に戻る

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