私はこうして存在するもっと以前
私は 深い樹海の中にいた
空も見えず 太陽の光さえ届かない深い樹海にいた
じめじめした空気が 私をつつみ 沈殿し
黒い空間を創り出す
木々はおいしげり 葉と葉が重なり合って
暗い深い樹海の中
息をすることも忘れて 私はいた
時おり 風が木々をゆらす時
奇跡のように葉がわかれ 光が届くことがあった
あの頃 私は空の青さを知らなかった
私はそこで 眠ることも知らず
目覚めることも知らずにいた
自分が生きているのか死んでいるのかさえわからずに
私は 樹海の中にいた
私は ただそこにいるというだけで
私は 深い樹海の中にいた