あの日 あの時

あたし 今でも覚えてる
小さな袋の中でぷかぷか浮いてたこと
まっくらな中で 心臓のとくとくいう音を聞いて安心だけを抱いてたこと
それなのに 誰かがあたしをそこから引きずり出そうとした
だから あたしは あのぬめぬめした道を通らなければならなかった
外に出るなんて まっぴらなのに

あたし 外に出たとたん泣いてやった 思いっきり
「いやよ-!」って
それなのにあたしのまわりで さも幸せそうな顔して
みんな微笑んでた

あたし 生まれる前から知っていた
空の青さだとか 風の音だとか
人間の快楽とか 苦悩とか
人間のあさましさだとか 嫉妬だとか

あたしの好きなものは
真っ暗な夜と 心臓の音

あたしのどうしても なじめないものは
人間の常識と
愛想笑い
そして 空の青さ

よろしければ、一言どうぞ